その日、善通寺(空海誕生の地)は新年のお詣りでにぎわっていた。2020年は、空海大師に醍醐天皇より「弘法大師」の諡号(しごう)が贈られて1100年になるという。空海大師が高野山の奥の院に入定されて86年もの後の出来事である。このことを記念して、今年四国88ヶ所を巡礼すると、各霊場で大師納経や御詠歌御影(ごえいかおみえ)が授与されるという。(詳しくは四国八十八ヶ所霊場会HPへ)
善通寺大師堂には「戒壇めぐり」という地下廊がある。真暗闇の中を祈り歩き、次に宝物館を巡るというコースである。真っ暗な地下廊に入ると、一瞬何処を歩いているのか解らなくなり不思議な感覚になる。壁をつたって歩いて行くと、ちょうど真ん中あたり、薄明るく曼荼羅に
囲まれた祈願地点がある。そこで、復元されたという「空海の声」を聴くことができる。
その日「戒壇めぐり」は混んでいるようだったので、遍照閣にある「四国八十八ヶ所霊場お砂踏」を巡礼した。
受付で500円を納めると5円玉100個のお賽銭に交換してくれる。各霊場の土が第1番霊山寺から順に88番大窪寺まで回廊式に敷き詰められてあり、88の御本尊が並んでいる。各御本尊は高さ約80㎝位、繊細な木彫りで美しい姿をされている。
各霊場の砂を踏みながら1体1体見つめ巡拝していく。各霊場の風光や思い出の出来事などが駆け巡る。中央付近には大師像やチベットの僧侶が描いたという薬師如来の「砂マンダラ」が展示されている。 砂マンダラは色彩豊かである。チベットでは作成の過程そのものが「祈り」であり、完成すると最後の祈願を終えた後、すぐに取り壊され、ヤルツァンポ川に流されるのだと聞いたことがある。遍照閣のお砂踏みは巡り方にもよるが、短時間で四国の遍路風を想い起こさせてくれる場所である
帰り、四国八十八ヶ所霊場会事務局に立ち寄り、1100年記念のポスターをいただいた。四国遍路の旅に出たいなあ…、今年又まわろうかなあ?…。(2020.1.11)
Comments