香川県に行く便があったので、久しぶりに三豊市詫間町にある「石鎚神宮」に寄ってみた。石鎚山のロープウェイ乗り場にある石鎚教奥の院の大きな神像群(表紙)と同じ神仏像がそびえ立っている。「仁・智・勇」の石鎚大神(石鎚毘古神)、石鎚蔵王大権現、役の行者、空海、不動明王、観自在菩薩の尊像がある(写真)。参拝を終えてから、神殿の横にある「茶久楽(ちゃくら)」という喫茶店に入った。
ここのパンフレットはないですか?と訪ねると、白衣姿の若い神職の方が対応してくれた。石鎚修験をしていた頃、もう30年以上も前、ロープウェイで上り下りする時は、乗り場の社務所におられた年配の神職の方に挨拶したり話をしたりしたものだった。そのことを話すと、若い神職の方は「その方は私のおじいさんで、今は父親が後を継いでいて、私はその孫にあたります。」と言われた。
‘’当時、おじいさんから石鎚山の頂上には神々や菩薩が沢山集っていると聞きました。テレビも新聞も見ないのに世界の動きが分ると言っていました。‘’と、思い出しながら言うと、「おじいさんはもう亡くなりましたが、霊感の強い人だったと聞いています。」とのこと。若い神職の方は、石鎚山へはしばらく登坂していないけれど、ここの神殿で「護摩祈祷」をしているのだと話してしてくれた。
喫茶店は高台にあるので展望がよく、窓からは讃岐平野、瀬戸大橋が見渡せる(写真)。昔の修行や彼のおじいさんのことを想い出しながらコーヒーを飲んでいた。
……石鎚頂上付近で何度か一夜を過ごしたことがある。昔は、3の鎖を登りつめたところに頂上社があった。ある日、その3の鎖の登り口近くの窪地にテントを張った。たぶん今はできないかもしれない。その夜中、3の鎖を登って、頂上社の前で聖言を読み上げていた。ある個所を読んでいる時、急に胸が熱くなって、何か暖かな光に包まれているような体験をした。石鎚山修験の想い出は語り尽きない…。
懐かしくも、ありがたくも。あのおじさんの姿も何となく浮かんでくる。石鎚の神様と会う方法も教えてくれたっけ…。その方のお孫さんと会えるなんて…若い神職の方から名刺を頂いた。時代は変われど、信心は受け継がれる。霊峰への想いがまたまた湧いて来た。また機会があったらここに来るかもしれない。
西日本一の標高にある「石鎚山」は、古くは役の行者が開山され、空海や数多修験者が修行された霊山で、信仰の山と呼ばれている。西条市の石鎚山周辺にはいくつかの流派の拠点がある。一通り回ってみるとご利益があるかも―。
〇「石鎚神社(石鎚本教)」…神道。本社、中腹の成就社、頂上社、土小屋遥拝殿がある
〇四国霊場第60番石鉄山「横峰寺」…役の行者・空海修行の地「星が森」蔵王権現出現
〇四国霊場第64番石鉄山「前神寺」…石鉄修験の根本道場、境内の高台に蔵王権現の社
〇不動霊場第23番石鎚山「極楽寺」…石鎚修験の根本道場、蔵王堂、波切不動尊
また、横峰寺へ向かう遍路道沿い、大頭付近に「石土神社」と「石鉄山妙雲寺」がある。
ロープウェイ乗り場付近には、いくつかの修験道流派の拠点があった。「石中寺」は今治市に社があり、石鎚山の東隣にある「瓶ケ森(男山と女山がある)」を「石土山」として、頂上に石土蔵王権現を祀っている。冒頭に記した「石鎚教・奥の院」は現在「石鎚神宮」として、詫間町の山に立派な社が建てられている。
他にも全国各地には石鎚山に関係する神社や寺や参詣講がたくさんあるようだ。中でも石鎚山の南隣にある「筒上山」山系に大きな山岳道場を持つ、高知市の「大峰宗総本山・石鎚山覚心寺」は謎?である。
それぞれ流派は違えど、霊峰・石鎚山に寄せる想いは同じだと思う。
神はいるのかいないのか…、特に美しい「霊峰」という山に行けば、明らかに感じることが出来る。 今年も一年、いい出会いがありますように-。
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